子宮内膜ポリープの
手術について

子宮内膜ポリープの子宮鏡による切除

ポリープを取り除くため子宮鏡を用いた切除は、入院をともなう手術に加え、外来や日帰りでの手術が可能な場合もあります。両方ともにカメラを通して医師がポリープを視覚的に確認しながらポリープを切除し摘出します。どちらの手術方法も、子宮内膜ポリープの効果的な治療法として広く用いられています。
患者様の状態やポリープの大きさ、数に応じて最適な方法が選ばれます。手術前には、医師と十分に相談し、自分に最適な治療法を選択することが重要です。

入院が必要な子宮鏡手術

この手術では、子宮鏡を通じて子宮内に挿入された電気メスを用いてポリープを切除します。電気メスは高温で組織を切断し、同時に出血を止める効果があります。
この方法は、特に大きなポリープや複数のポリープが存在する場合に有効です。手術は全身麻酔または局所麻酔の下で行われ、手術後は数日間の入院が必要です。術後の経過観察や出血の管理が重要であり、医師の指示に従って安静に過ごすことが求められます。

外来/日帰りも可能な
子宮鏡手術

近年、子宮内膜ポリープの治療方法として、外来日帰り手術が選択されることが増えています。特に注目されているのが電気メスを使わない「組織切除回収システム(シェーバー)」を使用した子宮鏡手術です。
この手術は局所麻酔または軽い鎮静剤を使用して行われ、手術後は短時間の観察期間を経て帰宅することができます。術後の回復が早く、日常生活への影響が少ないため、多くの患者様にとって負担が少ない方法です。

※すべての病院で日帰り/外来での手術を行っているわけではありません。通院される前に、必ず病院にご確認をお願いします。

組織切除回収システム(シェーバー)とは

組織切除回収システム(シェーバー)は、ポリープを物理的に切除するための専用の刃を備えています。
シェーバーは、ポリープを切除しながら同時に吸引する機能を持っており、切除された組織を迅速に除去することができます。

組織切除回収システム(シェーバー)のメリット

  • 負担の軽減

    手術時間は通常15~30分以内から1時間程度で、全身麻酔や入院が必要ないため、患者様の身体的・時間的負担が軽減されます。
    また、手術後の回復も早く、日常生活への早期復帰が期待できます。これにより、仕事や家庭の都合で長期間の入院が難しい女性にとっても、非常にメリットのある治療法です。また、健康保険で受けられる治療となっています。

  • リスクが低い

    もう一つ、シェーバーの大きなメリットは「非通電」であることです。これは、電気を使用しないため、周囲の正常な子宮内膜組織に対する熱損傷のリスクが低く、組織の回復が早いというメリットがあります。特に不妊治療を考えている女性にとって、子宮内膜の健康を保つことは重要であり、シェーバーによる切除はその点で非常に有利です。

外来/日帰りでの子宮鏡手術の流れ

シェーバーを使用した外来/日帰りでの子宮内膜ポリープ手術の一般的な流れについて、説明します。
病院でそれぞれ異なりますのであくまでも一例です。詳細は病院の先生にご相談下さい。

STEP 01手術前の準備

手術前には、患者様の健康状態を確認するための検査が行われます。バイタルサインの測定や処置に備えて点滴をしたり(ルート確保)、場合によっては子宮の入り口を広げるためのスポンジを短時間子宮頸管に留置することがあります。
また手術中の痛みに備えて、鎮痛薬を内服や座薬で投与します。また、手術当日は絶食が求められることが一般的です。これらの準備が整った後、手術が開始されます。

STEP 02手術の手順

手術は通常、局所麻酔、もしくは軽い鎮静剤を使用して行われます。子宮鏡を入れて子宮内を観察した後、シェーバーを挿入し、ポリープを切除します。子宮鏡の視野を確保するために生理食塩水を子宮の内腔に満たして灌流しながら行います。同時に、切除された組織が専用の装置に吸引されます。
鎮痛剤の術前投与と局所麻酔で強い疼痛はほとんどなく、鎮静剤を使わない場合には処置の画面上でご自身の子宮内膜ポリープを見ていただくことが可能です。手術時間は15~30分以内が一般的です。

STEP 03手術の完了

ポリープが完全に除去されたことを確認し、手術を終了します。
手術後は、短時間の観察期間を経て帰宅することができます。

STEP 04術後のケア

手術後は、軽度の出血や下腹部の不快感があることがありますが、通常は数日以内に収まります。また、感染予防のために抗生物質が処方されることがあります。 術後のフォローアップも重要であり、定期的にポリープが再発していないか確認します。

POINT

シェーバーを使用した子宮内膜ポリープの手術は、安全性と効果の両方を兼ね備えた方法であり、患者様にとって非常に有益な選択肢です。この手術は、従来の方法に比べて短時間で行われ、術後の回復も早いことが特徴です。
また、不妊症の治療としても効果が期待できるため、子宮内膜ポリープに悩む多くの女性にとって最適な治療法の一つといえるでしょう。

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監修医師

小芝 明美 先生京都市立病院 産婦人科 部長

  • 日本産科婦人科学会産婦人科指導医
  • 母体保護法指定医
  • 日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(子宮鏡)
  • 日本女性医学学会女性ヘルスケア指導医
  • 京都府立医科大学臨床教授京都府立医科大学客員講師
  • 日本子宮鏡研究会幹事長